Fable 5.1完全ガイドではスペック、価格、安全性の改善について紹介しました。今回は別の話です。どうプロンプトを書けばFable 5.1の力を最大限引き出せるかを解説します。

Anthropicは公式ドキュメントでFable 5.1とFable 5の16個の挙動の違いをリストアップし、それぞれに対応するプロンプトテクニックを添えています。原文は英語の技術文書ですが、この記事ではユーザータイプ別に3つのセクションにまとめました:一般チャット、Claude Codeユーザー、API開発者。自分に関係する部分だけ読めば十分です。

Anthropic公式ドキュメント「Prompting Claude Fable 5.1」ページ、16個の挙動の違いと対応するプロンプトテクニックを掲載

誰でも使えるプロンプトテクニック

effortレベル:最も重要な調整ダイヤル

Fable 5.1にはlow、medium、high(デフォルト)、xhigh、maxの5つのeffortレベルがあります。レベルが高いほどAIは思考に時間をかけ、回答の品質は上がりますが、コストも高く速度も遅くなります。

重要なポイントは:Fable 5.1のeffortレベルはFable 5とそのまま対応しないということです。同じ名前でもモデルが変われば思考量の意味も変わるため、モデルを切り替えたら、どのレベルが最適かを改めてテストする必要があります。

実用的な判断基準をいくつか:

  • mediumの品質はFable 5のhigh相当ですが、より安価です。日常的な会話や簡単な質問応答にはmediumで十分です
  • lowの性能はOpusやSonnetクラスのモデルに近いですが、スコアはより高くなります。コスト削減のために小型モデルを検討していたなら、Fable 5.1のlowの方が良い選択です
  • xhighとmaxは本当に深い推論が必要なタスクのために取っておきましょう

文体が変わった

Fable 5.1の文章はFable 5より密度が高くなっています。文が長く、段落が詰まっていて、言葉選びもより洗練されています。全体としては進歩と言えますが、軽く読みやすい文章が必要な場合は、意図的に調整する必要があります。

最も簡単な方法は、CLAUDE.mdやプロジェクト設定に一文を加えることです:

修辞的な表現は使わないでください。比喩ではなく、できる限り直接的でシンプルな言い回しを使ってください。

さらに細かく制御したい場合は、「わざとらしい文章」とは何かを具体的に説明するとよいでしょう。比喩で直接的な表現を置き換えること、修辞が意味を覆い隠してしまうことなどを明確に定義し、AIに何を避けるべきか分からせます。この種のルールはCLAUDE.mdに一度書いておけば十分で、毎回の会話で繰り返す必要はありません。

もう一つ逆方向の変化もあります。Fable 5.1は前世代より使うフォーマットが少なくなっています。以前のClaudeは太字や箇条書き、見出しをやたらと使うと批判されており、多くの人が設定に「フォーマットを控えめに」という指示を加えていました。Fable 5.1はすでに自分で調整しており、逆にフォーマットが少なすぎることもあります。もしCLAUDE.mdやカスタム指示に反フォーマットのルールがあれば、削除するか、次のようにポジティブな表現に書き換えることを検討してください:

箇条書きが必要な時は箇条書きを、強調が必要な時は太字を使ってください。相手が簡潔なフォーマットを求めている場合は、プレーンテキストを使ってください。

タスクへの取り組み方:やりすぎることも、早く止まりすぎることもある

Fable 5.1のタスク遂行には相反する2つの傾向があり、それぞれ別に対処する必要があります。

やりすぎる:1行のコード修正を頼んだだけなのに、ついでに近くの関数をリファクタリングしたり、テストファイルを3つ余分に書いたりすることがあります。Anthropicは、CLAUDE.mdに範囲の制限を加えることを推奨しています。核心となる考え方は「タスク範囲外の問題を見つけても修正せず、サマリーで報告するだけにする」、そして「タスクの要求やプロジェクトの慣習が求める場合のみテストを書く」ことです。

早く止まりすぎる:作業の途中で「続けてもいいですか?」と聞いたり、次のステップを説明するだけで実行しなかったりすることがあります。Anthropicのこれに対するプロンプト指示は長めですが、核心は2つの文にまとめられます:

  1. 「ユーザーは画面の前でリアルタイムに見ているわけではなく、途中で質問に答えることはない」と伝える
  2. 「終える前に最後の段落を確認する。それが計画、分析、次のステップのリスト、あるいはまだ実行していない約束であれば、今すぐ実行する」と伝える

この2つはCLAUDE.mdに書いておけば十分で、毎回の会話で言う必要はありません。やりすぎと早く止まりすぎる状況は交互に現れることがありますが、この2つの指示は矛盾しないので、同時に入れておいて問題ありません。

Claude Codeユーザー向けのプロンプトテクニック

進捗報告が減った

Claude Codeを使っていると気づくはずです。Fable 5.1はtool callの合間でほとんど何も話さなくなりました。Fable 5は作業しながら「Xを見つけました、次はYをやります」と話していましたが、Fable 5.1ははるかに静かです。effortが高く、tool chainが長いほど、この傾向は顕著になります。

まず確認すべきことがあります。Fable 5.1の進捗報告はthinking block内のprogress updateを通じて送られます。クライアント側でthinking.display"updates"に設定しないと受信できません。多くのクライアントはデフォルトの"omitted"のままになっており、その場合はまったく表示されません。

設定を確認してもまだ足りない場合は、system promptに以下を追加してください:

作業を始める前に、これから何をするか一文で伝えてください。作業中は簡潔に進捗を更新してください。
終了時には、最後のメッセージだけを読む人でも全体像を把握できるよう、完全なサマリーを提示してください。

また、あなたのクライアントがtool outputを折りたたんで(ユーザーから見えないように)表示している場合は、そのことをAIに伝えてください。そうしないと、AIはユーザーがコマンドの出力を見られると思い込み、要点を繰り返さなくなる可能性があります。

セキュリティの誤検知

Fable 5.1のセキュリティ誤検知はFable 5より大幅に改善されています(Claude Codeでは約60%減少)が、それでも発生します。誤検知が起きやすい3つの状況と対策:

状況解決策
「このプログラムはコンパイルできるか」と聞く「このプログラムにバグはあるか」に言い換える
マイナーなプログラミング言語のコードそのコンテキストに言語のドキュメントを添付する
tool outputにbase64エンコードされたデータが含まれるbase64データを削除する

ブロックされた場合、APIはstop_reason: "refusal"を返します。機微なセキュリティ問題に遭遇すると、Fable 5.1は自動的にOpus 4.8に引き継いで回答させます。追加料金はかかりません。

ちょっとした変更でファイル全体を書き換える

Fable 5.1はFable 5より、たとえ2行しか変更が必要なくても、ファイル全体を書き換える頻度が高くなっています。結果は通常同じですが、出力トークンと待ち時間を無駄にします。一文のプロンプトで改善できます:

結果に影響しない範囲で、ファイル全体を書き換えるのではなく、できるだけ部分的な修正にとどめてください。

API開発者向けの技術ポイント

以下はやや技術寄りの内容で、Messages APIを直接使う、あるいはエージェントシステムを構築する開発者向けです。

会話履歴はappend-onlyを維持する

Fable 5.1における最も重要な技術的変更です。各ターンのAIのthinking blockは、それを生成した会話のプレフィックス(system prompt + tool定義 + それまでのすべてのメッセージ)に紐づくようになりました。2回のAPI呼び出しの間に以前のターンを修正すると、次の呼び出しは400エラーを返します。

実務上できなくなったこと:

  • ターンの間でプロンプトを注入または削除すること
  • その場で古いターンを要約または削除すること
  • 途中でsystem promptやtool定義を変更すること

代替手段:

  • 各ターンの指示にはturn-scoped system messageを使う(clear_at: "next_user_message"、beta header mid-conversation-system-clear-at-2026-08-21が必要)
  • 指示やツールの変更はmid-conversation system messageとして追記し、上書きしない
  • 会話の圧縮にはサーバー側のcompactionまたはcontext editingを使う
  • クライアント側で自分で圧縮する場合、最も安全な方法は、履歴全体を1つのサマリーと新しいuserターンに置き換え、古いthinking blockを一切含めないことです

2026年8月31日以降に作成された新規アカウントでは、すでにこの制限が強制されています。既存アカウントも今後対象になります。Anthropicは今すぐ対応することを推奨しています。

tool callをまとめて送信する

コーディングエージェントやcomputer useの場面では、Fable 5.1は互いに依存しない複数のツールが同時に呼び出せる場合でも、一度に1つのtool callしか発行しない傾向があります。品質には影響しませんが、トークンと時間を無駄にします。

tool resultを返すたびに、次のturn-scoped system messageを添えてください:

まず次に必要なものをリストアップし、互いに依存しないリクエストはすべてこの返信の中でまとめて発行してください。

公式ドキュメントにはPython、TypeScript、Go、C#、Java、PHP、Rubyの7言語による完全なコード例が付属しており、turn-scoped system messageの正しい配置方法も含まれています。

要約時に保持すべき指示

会話が長くなりすぎて圧縮が必要な場合、Fable 5.1は明確な保持指示に対してよく反応します。Anthropicが推奨する要約プロンプトには、必ず保持すべき情報として6つのカテゴリが挙げられています:

  1. 発生した問題とその解決策
  2. 検討したが採用しなかった案
  3. 下した決定、好み、制約条件(原文のまま保持)
  4. 現在の進捗
  5. 未完了の事項と次のステップ
  6. 再現が難しい詳細:名前、数字、日付、リンク

特別なルールとして、ユーザー自身の発言はできるだけ原文のまま保持し、AI自身の分析は大幅に圧縮して構いません。

その他のAPI調整

他にも小さいながら注目に値する挙動の違いがいくつかあります:

低effortでの検索率低下loweffortでは、Fable 5.1は検索ツールを呼び出す代わりに記憶から回答する傾向が強くなります。system promptに「名前を知っていることと、その現状を知っていることは別。特にAIモデルや開発ツールのような変化の速い分野では、覚えがあっても検索すること」という指示を加えるとよいでしょう。あるいは検索が必要なturnだけ個別にeffortを上げる方法もあります(APIはmid-conversationでのeffort切り替えに対応しています)。

引用元をそのまま丸写しする。文書を要約する際、Fable 5.1は引用元を明示せず原文をそのままコピーすることが増えています。system promptに正しい回答の完全な例を1つ置いておくのが最も効果的で、「自分の言葉で言い換え、短い一文だけを引用し、出典を明記する」という手本をAIに見せることができます。

長い出力でのトークンの無駄xhighmaxのeffortでは、AIがthinking内で完全な下書きを一度書いた後、出力でもう一度書き直すことがあり、トークン消費が倍になります。userメッセージの末尾に、thinkingと出力は同じトークン上限を共有していること、成果物全体を二重に書く必要はないことを伝える指示を加えてください。

サブエージェントの並列処理。アーキテクチャがサブエージェントに対応している場合、サブエージェントを起動するツールはすぐに応答を返すようにし、メインエージェントが他の作業を続けられるようにしてください。また「結果を待つ」ための別のツールも用意し、メインエージェントが自分でいつ待つかを決められるようにしてください。

画像分析にはクロップツールを与える。Fable 5.1の視覚能力は向上していますが、密度の高いグラフを扱う最良の方法は、AI自身が特定の領域をクロップ・拡大できるようにすることです。シンプルな画像クロップツールがあるだけで、画像分析の精度は大幅に向上します。

まとめ

Fable 5.1のプロンプトテクニックは、2つのことにまとめられます:

  1. effortレベルをうまく使う。日常使いはmediumで十分で、コストを抑えつつ品質も落ちません。深い思考が必要な時だけxhighやmaxまで上げましょう
  2. 権限範囲をコントロールする。Fable 5.1は能力が高い分、ついでに色々やってしまいがちです。CLAUDE.mdで触れてほしくないことを明確に伝えれば、一度書くだけでずっと効果が続きます

完全な公式ガイド(7言語のコード例付き)はAnthropicのドキュメントにあります。実装の詳細については、原文を直接読むことをおすすめします。

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