2026年9月1日、World LabsはAtlasをリリースしました。写真から3D世界を生成するAIモデルです。World Labsの共同創業者はFei-Fei Li。ImageNetを推進し、スタンフォード大学AI研究所の元所長を務めた人物で、AI界ではゴッドマザー級の存在として知られています。同社はこれまでにNvidia、AMD、Autodeskなどから12億ドル以上の資金を調達しています。

Atlasは、SoraやRunwayのような、皆さんがよく知るAI動画生成ツールとは異なります。生成するのは単なる動画ではなく、3Dの奥行きを持つ空間全体です。ゲームの中で視点を動かすように、カメラアングルを自由に操作できます。

できること

Atlasは自らを「世界モデル」(world model)と説明しています。簡単に言うと、次のようなことができます。

  • 写真を1枚入れると、画像の背後にある3D世界全体を「想像」する
  • 最長1分、最高1440pの動画を生成できる
  • カメラを前後左右、上下へ自由に移動できる
  • 動画だけでなく、点群3D Gaussian splat(ゲームエンジンや3Dソフトで利用可能)も出力できる
  • 最大8枚の写真を入れると、自動で1つの完全なシーンに組み合わせる

公式発表で特に強調されている言葉が空間知能(spatial intelligence)です。AIは画像のピクセルを理解するだけでなく、その背後にある物理空間も理解します。物体同士がどれくらい離れているか、何が何の後ろにあるか、光がどこから来ているか、といったことです。

使い方

現在は marble.worldlabs.ai から直接試せます。インターフェースには2種類の入力モードがあります。

  • 2D input:写真、動画、パノラマ画像を入れて、Atlasに3D世界を生成させる
  • 3D input:3Dモデルと基本的な幾何形状を使ってシーンを作る

Atlasの操作画面:2D入力モード。テキストでシーンを説明し、写真をアップロードし、Marble 1.1 Plusモデルを選んで生成できる

操作はとても直感的です。2D inputを選び、写真を1枚アップロードし、作りたいシーンをテキストで説明して、モデル(現在はMarble 1.1 Plus)を選択し、Createを押します。生成には数分かかります。完成後はマウスをドラッグしてカメラアングルを変えたり、動画を書き出したりできます。

ペンチャンの実測:北海道の写真1枚から3D世界全体を生成

ペンチャンは、以前家族と北海道のニセコへ旅行したときの写真でテストしました。入力したプロンプトは「この画像のシーンを生成。画像は北海道のニセコで撮影」と、とてもシンプルなものです。Marble 1.1 Plusを選び、Createを押しました。

約10分待つと、Atlasはカメラを自由に動かせる3Dシーンを生成しました。上の動画では、待機アニメーションから最終成果物の表示まで、生成プロセス全体を紹介しています。

いくつか気づいた点です。

  • 全体の雰囲気はうまく再現されており、雪景色や建物の質感も十分に表現されている
  • カメラ移動時のジオメトリの一貫性はまずまずだが、ときどき画像の崩れや歪みがある
  • 元の写真の視点から離れるほど、生成されたディテールはぼやける(想定内の挙動)
  • 生成時間は約10分。速くはないが、許容できる範囲

技術的な仕組み

Atlasの基盤アーキテクチャは「マルチモーダル自己回帰拡散Transformer」です。簡単に言えば、テキスト、画像、動画、3Dデータを同時に処理し、統一された空間アーキテクチャの中で動作する単一モデルです。

一般的なAI動画ツールとの違いは、Atlasがカメラの軌跡とジオメトリをネイティブな入力として扱う点にあります。テキストによる説明から欲しいアングルを推測するのではありません。だからこそ「ピクセルレベルのカメラ制御」が可能になります。

公式のブラインドテストでは、カメラ経路の正確さでAtlasがGemini Omni FlashとFLUXを上回りました。3Dジオメトリの再構築でも、主要なオープンソースモデルを超えています。

公式紹介動画

World Labsの公式動画では、1枚の写真から完全な3Dシーンへ変換する過程など、Atlasのさらなる能力が紹介されています。

World Labs Atlas公式紹介動画

▶️ World Labs Atlas公式紹介動画(YouTube)

ペンチャンの見方

  1. これは単なる新しいAI動画ツールではありません。 これまでのGrok Imagineや、サービス終了したSoraは「テキストから動画を生成」するもので、正確なプロンプトを書くことが重視されていました。一方Atlasは、写真とテキストから3D空間を再構築します。似ているように聞こえますが、カメラを自由に操作できるという一点だけでも、Atlasがある程度は空間を「理解」していることが分かります。
  2. 実際の体験は想像以上でした。 1枚の写真から生成される3Dの品質は粗いだろうと思っていましたが、カメラを動かしたときの効果にはかなり驚かされました。画像の崩れはあるものの、今後の新バージョンでどのように進化するのか楽しみです。
  3. 興味深いのは、「ロボットの訓練」こそが彼らの本当の目的だということです。 公式Xを見ると、ロボットのシーンが何度も登場します。公式の説明を調べると、最大の応用先はロボット訓練だと分かりました。スマートフォンで現実の空間を撮影し、3D環境に再構築して、シミュレーターの中でロボットを練習させるのです。Atlasにとって、空間理解こそが本当の核心だと言えます。

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