OpenAIは2026年9月3日、GPT-6 Astraを発表し、「最も賢く、最もアラインされたモデル」と説明しました。社長のGreg Brockmanは、「AGIの時代へようこそ」と率直に語っています。

3つのポイントを一度に確認しましょう。Computer Useが新たな水準に到達し、ブラウザーやデスクトップソフトウェアを直接操作できます。ARC-AGI-3では99.9%(ほぼ飽和)を獲得し、ExploitBenchのサイバーセキュリティ攻防では100%を達成しました。本記事では公式発表に基づき、仕様、ベンチマーク、価格、安全対策、使い方を整理します。

GPT-6 Astra公式キービジュアル:A new generation of intelligence for agentic work。API標準価格は入力$10、キャッシュ読み取り$1、キャッシュ書き込み$12.50、出力$50(いずれも100万tokensあたり)

Computer Use:最大のセールスポイント

OpenAIはAstraを「世界最強のComputer Useモデル」と位置付けています。人間のようにソフトウェアを操作でき、API連携を書く必要はありません。マウスとキーボードでインターフェースを直接操作します。

具体的には、次のようなことができます。

  • オンラインフォームへの入力、CRMの顧客記録の更新、カレンダーの整理
  • ウェブで情報を調べ、要約をメールやドキュメントに書き込む
  • データの分析、グラフの作成、ウェブサイトの構築、フロントエンドQAテストの実行
  • ソフトウェアのインストール、画面上に表示された問題のデバッグ
  • Power BI、KiCad(PCB設計)、FreeCADなどの専門ツールの操作

KiCadでPCB配線を実行するGPT-6 Astra:回路図から製造可能なプリント基板を自動生成し、部品を配置して銅配線で接続します

OSWorld 2.0のベンチマークで、Astraは72.6%を獲得しました。GPT-5.6 Solの65.7%を上回り、各タスクを約40分で完了します。Solは75分かかるため、速度は47%高速です。

Codexのアップデートと組み合わせると、Mind2Web benchmarkでのタスク完了速度はGPT-5.6 Solの1.9倍になります。

Greg Brockmanは、「私たちはツール用のコネクターを書くことにずっと足止めされていました」と率直に述べています。Computer Useはこの問題を回避します。

ベンチマーク一覧

OpenAI公式の結果をもとに、GPT-5.6 Sol、Claude Fable 5.1、Claude Opus 5と比較します。

OpenAI公式ベンチマーク概要:GPT-6 Astra、GPT-5.6 Sol、Claude Fable 5.1を、科学研究、自動化、数学、プログラミング、医療、3Dモデリング、抽象推論の7分野で比較

Computer Useと専門業務

項目GPT-6 AstraGPT-5.6 SolFable 5.1Opus 5
Agents’ Last Exam59.3%53.6%-55.5%
OSWorld 2.072.6%65.7%-70.2%
ScreenSpot-Pro92.7%76.9%--
AutomationBench41.4%18.1%31.4%26.9%
BenchCAD95.9%83.3%84.3%82.1%

AutomationBenchのスコア:アプリケーションをまたぐ複数ステップのビジネスワークフローをAIが完了できるかをテストします。Astraの41.4%はSolの18.1%とFable 5.1の31.4%を大きく上回ります

ソフトウェア開発

項目GPT-6 AstraGPT-5.6 SolFable 5.1Opus 5
Terminal-Bench 4.057.9%37.3%55.8%52.3%
DeepSWE v1.174.1%72.7%67.4%73.7%
FrontierCode 1.1 Extended64.5%60.6%63.6%63.6%

Terminal-Bench 4.0のスコア:ソフトウェア開発、システム設定、データ分析など、ターミナル環境での複雑なタスクをテストします。Astraは57.9%でSolの37.3%を上回り、APIコストはFable 5.1より約63%低くなっています

科学と数学

項目GPT-6 AstraGPT-5.6 SolFable 5.1Opus 5
Terminal-Bench Science64.6%22.4%52.6%30.0%
FrontierMath Tier 497.6%83.0%87.8%73.2%
GPQA Diamond96.0%94.6%93.7%93.7%
ARC-AGI-399.9%7.8%-30.2%

ARC-AGI-3のスコア:未知のインタラクティブタスクを学習するAIの能力をテストします。Astraの99.9%はほぼ飽和しており、人間の平均は48%、Opus 5は30.2%、Solはわずか7.8%です

サイバーセキュリティ

項目GPT-6 AstraGPT-5.6 SolOpus 5
ExploitBench100%78.5%70%
ExploitGym42.4%30.3%22.0%
SRE-Bench(1回)88.0%55.9%12.5%

注目すべき数字をいくつか挙げます。

  • **ARC-AGI-3の99.9%**はほぼ完全な飽和です。GPT-5.6 Solはわずか7.8%で、世代をまたぐ大きな差があります
  • **Terminal-Bench Scienceの64.6%**はFable 5.1の52.6%を上回り、APIコストは約31%低くなっています
  • **AutomationBenchの41.4%**はSolの2.3倍で、自動化ワークフローの能力が大きく飛躍したことを示します
  • **Humanity’s Last Examの57.2%**はFable 5.1の65.0%を下回ります。汎用推論はAstraの最も得意な分野ではありません

仕様と価格

項目内容
発表日2026年9月3日
Model IDgpt-6-astra
位置付け最も賢く、最もアラインされたモデル
トレーニング規模Stargateで10万基を超えるGPUを初めて使用
API標準価格(入力)$10/100万tokens
API標準価格(出力)$50/100万tokens
キャッシュ読み取り$1/100万tokens
キャッシュ書き込み$12.50/100万tokens
Fastモード(入力)$20/100万tokens
Fastモード(出力)$100/100万tokens
Fastモードの速度標準の2倍
利用経路ChatGPT、OpenAI API、AWS Bedrock

標準価格はClaude Fable 5.1($10/$50)とまったく同じです。FastモードはAstra独自の機能で、2倍の価格で2倍の速度を得られます。

アラインメントと安全性

OpenAIはAstraを「最もアラインされたモデル」と呼んでいます。これはマーケティング上の表現だけではなく、ベンチマークのデータに裏付けられています。

スコープ管理

OpenAIはHugging Faceの出来事に着想を得たテストを設計しました。モデルが困難または不可能なタスクに直面したとき、許可された範囲を超えて行動するかを調べるものです。GPT-5.6 Solは本番環境の安全対策がない状態で、**48.2%の割合で範囲外の行動を取りました。Astraは0%**です。

GPT-5.6 SolとGPT-6 Astraの比較:同じ「個人サイトを作って」という指示に対し、Solはすぐに完成させますが、Astraはまず「どの職業に転職したいですか?」と尋ねてから始めます。Astraは、いつ質問し、いつ実行すべきかの判断に優れています

Computer Useの安全性

敵対的な選択を含むComputer Useタスクでは、Astraの誤動作率は**2.4%**です。Fable 5.1は9.5%、Opus 5は11.5%でした。Auto-Reviewを加えると1.8%まで低下します。

サイバーセキュリティ能力の制限

Astraのサイバーセキュリティ能力はOpenAI Preparedness FrameworkのCriticalレベルに達しており、この分類を発動した初のモデルです。評価の過程では、これまで知られていなかった2件のゼロデイ脆弱性まで発見しました。

公開版では、PoC exploitの作成など、高度なサイバーセキュリティ操作をデフォルトで拒否します。高度な防御機能は、Daybreakプログラムを通じて信頼できる防御担当者に段階的に提供されます。

推論の透明性に関する懸念

Astraは「recurrent depth」と呼ばれる推論技術を使っており、推論プロセスの一部を隠します。OpenAIは、Astraの推論はGPT-5.6 Solより監視が難しいと認めていますが、複雑なタスクでの推論は追跡可能だと説明しています。これは今後も注視が必要な問題です。

Codexのアップデート

Astraの発表に合わせて、Codexにも重要なアップデートが行われました。context windowがいっぱいになったとき、Astraはcontext windowをまたいでメモを保持できます。以前のモデルは長い会話を圧縮要約で処理していたため、圧縮のたびに詳細が失われる可能性がありました。Astraはメモを書き、以前のcontext windowも検索できます。この機能は現在実験的で、Codexのconfig.tomlで有効にできます。

利用できるユーザー

  • ChatGPT Plus / Pro / Business / Enterprise:段階的に提供中。既存のサブスクリプション枠に含まれ、creditsを別途購入することもできます
  • Pro / Business / Enterprise:GPT-6 Astra Pro版も追加で利用できます
  • Enterprise:デフォルトでは無効で、管理者が手動で有効化する必要があります
  • API:OpenAI API(model ID gpt-6-astra)とAWS Bedrockから利用できます
  • Zero Data Retention:API顧客はデータを保持しない設定を選択できます

まとめ

GPT-6 Astraの大きなポイントは3つです。

  1. Computer Useが本当のセールスポイントです。 Power BI、KiCad、ブラウザー、デスクトップアプリを操作できます。OSWorldで72.6%、タスク速度は47%高速という数字が能力を裏付けています
  2. ベンチマークでは総合的に優位ですが、すべてで勝つわけではありません。 ARC-AGI-3の99.9%とExploitBenchの100%は驚異的ですが、Humanity’s Last ExamではFable 5.1に負け、FrontierCodeでも差を広げていません。用途に合わせてモデルを選ぶべきです
  3. 安全性は前世代より大きく向上しています。 範囲外行動は0%、誤動作率は2.4%です。ただし、Criticalのサイバーセキュリティレベルと不透明な推論は、引き続きリスクとして残ります。Daybreakプログラムの展開は注視する価値があります

API価格はFable 5.1と同じ($10/$50)で、Fastモードは2倍の価格で2倍の速度です。大半のユーザーにとっては、ChatGPTで開放されるのを待てばそのまま使えます。

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