Google は 2026 年 8 月、Gemini App の月間アクティブが 10 億を超えたと発表しました。OpenAI は 10 月 7 日、ChatGPT の週間アクティブが 12 億を超えたと発表しています。日付も指標も異なるため、これだけで勝敗は決められません。

実はこの二つの数字は、別のものを測っています。本記事は勝敗を決めず、数字の裏にある指標の読み方だけをお伝えします。まず Gemini の背後にある会社を知りたい方は、Google とはどんな会社かをご覧ください。


罠その一:月間アクティブ vs 週間アクティブ

**月間アクティブ(MAU)**は一か月以内に少なくとも一度使った人、**週間アクティブ(WAU)**は一週間以内に少なくとも一度使った人です。毎週戻ってくる人は、月に一度使う人より必ず少なくなります。ですからハードルの違う二つの数字は、大小を直接比べられません。

これらの数字はそれぞれの利用規模を示すだけで、どちらが優勢かを証明するものではありません。


罠その二:誰を「使った」とみなすか

ChatGPT のユーザーは、能動的に開いてチャットする人です。一方、Google の数字にはいくつもの種類が混ざっています。Gemini App は能動的な利用に近いものです。検索結果ページの AI 要約(AI Overviews)は、2026 年 5 月に 25 億人が目にしたと公表されました。検索内の対話モードである AI Mode も、2026 年 7 月に月間アクティブ 10 億突破が発表され、Google は現在この二つを一つの検索体験に統合しています。

要約を目にすることと、能動的に対話することは別の使い方です。ピュー研究所の 2025 年の調査によれば、AI 要約が表示された検索訪問のうち、要約内のリンクがクリックされたのは約 1%、閲覧がそこで終了したのは 26% でした。ただし、これはユーザーが要約を読んでいない、あるいは使っていないことの証明にはなりません。


罠その三:成長は押し出されたものか、選ばれたものか

Google の検索・Android・YouTube・Gmail は、それぞれ十億規模のユーザーを抱えています。Gemini はこうした入口に直接組み込めるため、ユーザーは別途ダウンロードする必要がありません。これは OpenAI にはない優位性ですが、同時に Gemini の利用者数の一部は「押し出された」ものでもあります。たとえば Android スマホにもともとあった音声アシスタントは Gemini に置き換えられ、多くの人は自分から選んだわけではありません。

この組み込み型の成長は規制当局の目も引いています。EU は 2026 年 7 月、デジタル市場法(DMA)に基づく決定を出し、Gemini が利用する 11 のシステム機能を他の AI アシスタントにも開放するよう Android に求めました。


第三者の数字は何を語るか

El País/EFE の 2026 年 6 月 4 日の報道によれば、Sensor Tower は 5 月の ChatGPT の月間アクティブを約 10 億、その時点までの第 2 四半期の Gemini App を約 4.72 億と推計しています。

第三者の推計と Google の自己申告では日付・手法・範囲が異なるため、差のすべてを集計基準の違いのせいにはできません。また a16z の 2026 年初めのレポートによれば、ChatGPT ウェブ版の週間アクティブユーザーの約 2 割が同じ週に Gemini も使っており、両者はどちらか一つを選ぶものというより、並存するツールに近いといえます。


では結局どちらが勝つのか

何を比べるか次第です。能動的に使う人数と利用の深さでは、第三者データは ChatGPT の優勢に傾いています。リーチの広さでは、検索と Android への組み込み規模を持つ Google の方が大きいです。現時点で、ChatGPT の全プラットフォームの利用者と、Gemini に検索の AI 機能を加えて重複を除いた真の総数とを、同じ物差しで同時に測れる第三者は存在しません。


小企鵝(Penchan)のまとめ

どの企業も、自社が最もよく見える指標を選んで数字を報告します。嘘とは言えませんが、細かく見ない人を誤解させます。

「月間アクティブ vs 週間アクティブ」「能動 vs 受動」「独立アプリ vs 組み込みサービス」の三つの物差しを持ち歩きましょう。次に「某社が某社を追い抜いた」という見出しを見たら、信じる前にまず測ってみてください。この方法は、あらゆる AI プラットフォームの利用者数に使えます。

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