先端パッケージング は「チップをどう組み合わせるか」を扱うが、その下でチップを載せる基板もついていかなければならない。AI チップは大型化し、消費電力も増す一方で、現行の有機基板は限界が見えてきた。そこで業界はガラスに目を向けている。

2026年10月時点で、主要メーカーはなおサンプル出荷、信頼性試験、顧客検証の段階にあり、量産目標の多くは2028年以降に置かれている。これは AI ハードウェアサプライチェーン総まとめ の延長となる材料編だ。


ガラス基板とは何か?

キャリア基板(substrate)はチップとマザーボードの間に挟まり、チップを載せて配線を外へ引き出す。一般的な有機基板は樹脂のコアを使い、外層に ABF などの絶縁材料と銅配線を組み合わせる。

ガラス基板は、基板の「コア層」だけをガラスに置き換えるもので、外層には引き続き ABF を使える。いわば一番内側の土台を取り替えるイメージだ。有機コアは熱でわずかに反る木の板、ガラスコアは平らで硬いガラス板にたとえられる。パッケージが大きくなるほど、土台が安定しているかどうかが重要になる。


ガラス基板の優位と課題

優位は3つある。

  • 平坦で安定:熱に強く反りにくいため、大面積のパッケージに向く。
  • 高密度:Intel の白書によると、ガラス貫通ビアのピッチは約100マイクロメートルで、有機基板の約325マイクロメートルと比べ、ビア密度は最大で約10倍になる。
  • 信号損失が小さい:高速伝送に向く。

課題はガラスが割れやすいことだ。穴あけや切断でマイクロクラックが生じやすく、ビアへの銅充填も難しい。どちらも歩留まりを直接押し下げる。


TGV:ガラス基板の肝心な工程

TGV(Through-Glass Via、ガラス貫通ビア)は、ガラスに極めて細い垂直の穴を開け、銅を充填するか穴の壁面に金属をめっきして、上下層の信号と電源をつなぐ技術だ。ガラスは導電しないため、この「エレベーター」がなければ、ガラスコアはただの絶縁板にすぎない。

硬くて割れやすいガラスに、細く深い穴をクラックなしで開け、銅を均一に充填しなければならない。TGV が安定しなければ、生産ラインは量産の話にすらならない。


海外大手の進捗

2026年10月時点の公開情報:

会社進捗量産時期出所
IntelTom’s Hardware によると、特許のライセンス供与とサンプル展示に軸足を移した。別途 3DGS とインドでのガラス基板工場を計画(約33億ドル)公式発表なし。メディアは2030年前後と推定メディア
Absolics(SKC 傘下)米ジョージア州工場のサンプルが初期評価を通過し、信頼性試験に入った。同工場は米 CHIPS 法で最大7,500万ドルの補助を受けた会社は未公表。メディアには2026年末と2027年の2説公式(2026年9月)
Samsung Electro-MechanicsSejong の試作ラインで顧客サンプルを評価中ガラスコア材料は2027年下半期、完成基板は2028年会社声明(メディア経由)
LG Innotek2028年(2027~2028年とする説もある)メディア
DNP(大日本印刷)2025年12月に試作ラインを稼働2028年度公式/メディア

メディアは AMD、Broadcom、AWS、NVIDIA を潜在顧客としてよく挙げるが、Tom’s Hardware のまとめによると、公式に確認された社は1社もない。


台湾メーカーのガラス基板における立ち位置

ガラスの扱いやパネルレベルの工程はパネルメーカーの得意分野で、台湾メーカーで最も注目されているのは**群創(Innolux)**だ。同社の chip-first パネルレベルパッケージングはすでに出荷しているが、それは既存の用途である。AI 向けの TGV ガラス基板はなお顧客検証中で、董事長は2026年8月の決算説明会で、量産は最短でも2028年だと述べた。

基板メーカーの**欣興(Unimicron)**はさらに慎重だ。2026年7月の決算説明会では、2030年より前に大規模量産に至る可能性は高くなく、ガラス基板はカスタム品が中心となり、既存の基板を置き換えることはできないとの見方を示した。**友達(AUO)**も取り組んでいるが量産時期は公表していない。數位時代によると、**宸鴻(TPK)**は TGV 試作ラインに投資し、2026年9月に試作を始める予定だった。


「ガラス基板 関連銘柄」をどう見るか

市場はパネルメーカーや基板メーカーに、装置の辛耘(Scientech)、材料の台湾ガラス(Taiwan Glass)と富喬(Fulltech Fiber Glass)を加えて関連チェーンとしてまとめることが多い。名前が挙がっても、受注、量産、恩恵が保証されるわけではない。銘柄選びのリストとしてではなく、「誰が位置取りしているか」を示す産業地図として読むほうが現実的だ。本記事は投資助言ではない。


量産時期:いつ普及するのか

国際半導体製造装置材料協会(SEMI)は、2028年より前に実質的な出荷量が出るのは難しいとみている。TSMC はまずパネルレベルパッケージングの CoPoS を進めており、メディアは同社のガラスコア基板の商用化は2030年より後になると推定している。


小企鵝(Penchan)のまとめ

ガラス基板はパッケージ基板の次の方向だが、その進み方は「年」単位だ。2026年は検証の年であって、量産拡大の年ではない。

追うべきは、どの会社が最初に顧客の公式な認定を得るか、どのラインが実際に出荷を始めるかであり、関連銘柄がまた1つ増えたかどうかではない。

関連記事:先端パッケージングとは、CoWoS、台湾半導体サプライチェーン、サプライチェーン総まとめ。